2025.08.02
イベント&チャリティ
インタビュー|伊集南さん タイ初訪問!
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WAFCA事務局:
タイの人たちの印象はどうでした?
伊集南さん:
やっぱり、タイの人はみんなすごく優しくてフレンドリー。
こっちよりもずっと、人との距離が近くて、あたたかさを感じました。
WAFCA事務局:
WAFCAthleteとしてツアーに参加されて、まずどんなお気持ちですか?
伊集南さん:
私自身、実際に障がいのある子どもと出会うのは初めてで…。普段、皆さんが寄付してくれている支援の“実物”を、私が代わりに見せてもらったような感覚がありました。
WAFCA事務局:
現場の印象はどうでしたか?
伊集南さん:
一番印象的だったのは、私はこれまで見たことないくらいの、重度の障がいのある子と出会ったことです。
布団の上に横たわっているその子を見たとき、「あ、この子が今、本当に必要としているものって何だろう?」って、いろんな思いが一気に湧いてきました。
WAFCATの職員の方が、現場の人に「いつからこういう状態になったの?」「今、何が必要?」って、フラットに、でも丁寧に質問していて。すごく自然に、でもちゃんと相手に寄り添うように聞いていて、「こうやって向き合うんだな」って思いました。
本当にストレートに質問をされていたんですが、でも、「こうした方がいいよ」とか、指導的なことは決して言わないんです。そこが印象的でした。
WAFCA事務局:
アドバイスや指示はしないんですね。
伊集南さん:
そう。たとえば、「こうした方がいい」って思っても、それを相手が本当に望んでいるのかはわからない。
だから、まずは丁寧に聞いて理解しようとしている姿勢がすごく印象的でした。
WAFCA事務局:
支援のかたちも、指導ではなく“寄り添う”って感じでしょうか。
伊集南さん:
はい。それがWAFCAの良さだなって思いました。
WAFCA事務局:
実際に障がいのある子どもと会って、どんな気持ちになりましたか?
伊集南さん:
会ったとき…すごく衝撃を受けました。
生活の様子とかも目にして、「ああ、こういう暮らしをしてるんだ…」って。悲しいというか、現実の重さがズシンときたんです。
WAFCA事務局:
暮らしぶりから、貧困の現状も見えてきた?
伊集南さん:
そうですね。「やっぱり貧困なんだな」って強く感じました。
ニュースや資料で見るよりも、実際に目の前で感じる空気って、まったく違うんですよね。
WAFCA事務局:
訪問先の家では、どんな様子でしたか?
伊集南さん:
エアコンはなくて、扇風機が回っているような状態でした。しかもそのとき、外は35〜36℃くらいあって…。
寝たきりの子がいるには、すごく厳しい環境だなと思いました。
WAFCA事務局:
障がい児のご家庭のトイレなども見ました?
伊集南さん:
はい、トイレを借りたんですけど、シャワーと一体型のスペースで、簡単な腰かけがあるだけでした。
「私、今ここでどうやって使えば…?」って戸惑うような感じ。
白い輪っかだけがあって、それで済ませるような仕組みになっていました。
WAFCA事務局:寝たきりの子はどんな様子でしたか?
伊集南さん:
はい。寝たきりの子たちは、脳性まひで目線も合わすことが難しい、たまに手足が動くだけで、学校にも行っていないみたいでした。
WAFCA事務局:
その子どもたちと直接の会話は難しかったですか?
伊集南さん:
そうですね…その子本人とは、一言も話せていないです。
WAFCA事務局:
でも、ご家族とはお話されたんですよね。
伊集南さん:
はい。ご家族は、とても丁寧に話してくれました。
ただ、車いすですぐに解決するかわからなくて…。
支援がどこまで届いているのか、何が必要なのか、まだまだ会話をして支援を考えないといけない部分も感じました。
一番印象的だったのは、ご両親が「この子たちは、もともとは普通の子だった」と話してくれたことです。
WAFCA事務局:
生まれつきではなく、途中で障がいが現れたということですか?
伊集南さん:
生まれた時は健康で、お兄ちゃんは四歳、妹は六歳のときに発症したそうです。3人兄弟の真ん中の子以外の2人が重度の障がいということですよね。
WAFCA事務局:
発症後、どんな経過をたどったんでしょうか。
伊集南さん:
最初は普通に立って歩けたけれど、徐々に足元が不安定になって、倒れ込むようになって…。
少しずつ重症化して、やがて寝たきりになったと聞きました。
WAFCA事務局:
知的な部分にも影響が出てきたのでしょうか?
伊集南さん:
はい、言語能力も低下して、今では意思疎通も難しい状態です。
一時は言葉も出ていたみたいですが、今はそれもなくなってしまって…。
WAFCA事務局:
進行性の病気ということですか?
伊集南さん:
はい。進行は今は止まっているかもしれませんが、当時はどんどん弱くなっていく状態で…。
ご家族も「寿命は長くないかもしれない」と覚悟されているようでした。
WAFCA事務局:
今回の訪問は、車いすの支援が必要かどうか確認するという位置づけだったんですね。
伊集南さん:
はい。現地での最初のステップとして、「まず会ってみよう、現状を知ろう」ということでした。
話を聞く中で、そもそも、支援にアクセスしようとする気持ちが芽生えにくい環境なんだと思いました。
WAFCA事務局:
今回はレアケースな重度障がいの子供の現状をご覧いただきました。この子たちは、まずそのまま車いす寄贈が支援のスタートにはならず、地域の理学療法士、コミュニティと連携し次の支援を考えていく予定です。
WAFCA事務局:
伊集南さん、ツアーのご参加をくわしく教えていただきありがとうございました。
行ってみて、他のWAFCAthleteメンバーに伝えたいこと、WAFCAの支援者に伝えたいことはありますか。
伊集南さん:こんな子どもたちを支援していたんだと、実感レベルが変わりました。他のWAFCAthleteメンバーにも現地を見に行ってほしいと強く思っています。また、これからもWAFCAへの支援を呼びかけますが、障がい児への丁寧で個人に合ったWAFCAらしい支援の必要性を、届けたいと思います。
▼伊集南さんタイ訪問の動画はこちら
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