2026.08.14
障がい児支援レポート
自分でつかんだ、新しい一歩 ― キラナさん

タイやインドネシアでWAFCAが出会ってきた、学びに向き合う子どもたちの姿を紹介します。
今回は、インドネシアに暮らすキラナさん(6歳)のストーリーです。
「学校へ行かせてあげたい。」
その思いだけで、お母さんは毎朝、娘とともに約1kmの道のりを歩いてきました。
インドネシア・西ジャカルタに暮らすキラナ・バスキ・プトリさん(17歳)は、脳性まひがあります。身体を自由に動かすことが難しいものの、明るく前向きな性格で、学ぶことが大好きな高校生です。
現在は南ジャカルタ障がい児育成財団(YPAC)の学校に通いながら、理学療法や言語療法、水泳などのリハビリにも意欲的に取り組み、自分でできることを一つずつ増やしています。
キラナさんは、お父さん、お母さん、弟の4人で、細い路地の奥にある小さな賃貸住宅で暮らしています。
お父さんはオンラインバイクタクシーの運転手、お母さんは専業主婦。決して裕福とは言えない暮らしの中でも、家族は「学ぶ機会だけは失わせたくない」と支え続けてきました。
車いすが届く前、お母さんは毎日キラナさんを抱きかかえて家を出て、約1km先の幹線道路まで歩き、スクールバスへ送り届けていました。
何年も続いたその日課は、お母さんにとって決して楽なものではありませんでした。
それでも、「学校へ通わせたい」という思いが、家族を支えていました。
ある日、キラナさんと家族はSNSでWAFCAインドネシア(WAFCAI)の活動を知ります。
「WAFCAIで車いすを申請するには、どうしたらいいですか?」
すぐにメッセージを送り、申請フォームを記入。後日、WAFCAIスタッフが家庭を訪問し、身体の状態や生活環境を丁寧に確認しました。
そして、キラナさんにぴったり合った車いすが届けられました。
スタッフが車いすを届けるためには、車を降りてから約100メートル、細く入り組んだ路地を歩かなければなりませんでした。
ようやくたどり着いた家で迎えてくれたのは、笑顔のキラナさんでした。
「どうぞ座ってください。」
そう声をかけ、飲み物まで用意してくれたキラナさん。
暮らしは決して豊かではありません。それでも、人を思いやる温かさにあふれた家族との出会いは、スタッフの心にも深く残りました。
新しい車いすは、キラナさんにとって単なる移動手段ではありません。
学校へ通うこと。
リハビリへ通い続けること。
外へ出かけること。
友達と過ごすこと。
17歳という青春の時間を、自分らしく過ごすための大切な一歩です。
お母さんは、「この車いすをきっかけに、娘がもっと自信を持ち、自立した生活へ近づいてほしい」と願っています。
その願いは、これからの未来を少しずつ現実に変えていくはずです。
WAFCAが届けている車いすは、子どもたちの「移動」を支えるだけではありません。
学び続けること。
夢に向かって挑戦すること。
家族の負担を軽くすること。
そして、自分らしく生きる自信を育むこと。
キラナさんがこれからも学校へ通い、リハビリを続け、青春を楽しみながら未来へ歩んでいけるのは、WAFCAを支えてくださる皆さまのおかげです。
一台の車いすは、一人の子どもの人生だけでなく、その家族の暮らしや希望まで支えています。
これからもWAFCAは、アジアの障がい児一人ひとりが「自分らしい未来」を歩めるよう、現地のパートナーとともに活動を続けてまいります。
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